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人生は雨の日ばかりじゃない  Ver.2

弱かったり 運が悪かったり 何も知らないとしても それは何もやらない事のいいわけにはならない そんなzak_mustangプレゼンツなblog

取材者の「依って立つところ」

ジャーナリストであり、かつオーマイニュース編集委員も勤めている佐々木俊尚氏が、例の毎日新聞の正月特集記事に対するエントリを上げているので、オレも少しその尻馬に乗ってみる。

  毎日新聞連載「ネット君臨」で考える取材の可視化問題(ジャーナリストの視点 佐々木俊尚)


 

このエントリで佐々木氏は、毎日新聞の元記事の被取材者であるがんだるふ氏に取材を敢行し、氏側の視点に依ることを断った上で、またご自身の記者時代(毎日新聞だ!)の経験を絡めて、毎日新聞の取材姿勢について批判的に書いている。

まず取材者側がレトリックで取材対象を批判する手法について

「年の瀬の東京・渋谷。記者はネット上のハンドルネーム(HN)『がんだるふ』を名乗る男に会った。元大手フィルムメーカー社員。今はイベントプロデューサーという。58歳。募金批判の中心人物だ」というくだりがある。そして「がんだるふ」氏との次のような一問一答が掲載されている。

--募金を払わなければいいだけなのに、なぜ攻撃するのか。
 「臓器移植問題は深いのに『かわいそう』で思考停止になっている。募金は物ごいと一緒だ」
 --書き込みには中傷や誤報がある。
 「ネット上の罵詈(ばり)雑言はノイズ。被害と感じるのは弱いからだ」
 --匿名での攻撃はアンフェアでは。
 「名前は記号。本質は書いた内容にある」
 --実名でも書ける?
 「それは書けます」
 --実名記事にしたいが。
 「載せないでほしい。『がんだるふ』というネット上の人格でやってきたから」

 一読して、悪意のある表現であるのが分かる。そもそも新聞で匿名の人物を描く際、「男性」ではなく「男」と表現するのは、その対象者が犯罪者かもしくはそれに準じるような反社会的人物であると新聞側が判断した場合に限られている。つまり毎日新聞は「がんだるふ」氏を、反社会的人物であると判断したということだ。とはいえ、一問一答の中身自体は決してがんだるふ氏を批判しているわけではない。このあたりのレトリックは新聞記者が好んで使うもので、一見公平に見えながらも、実は意図をその文脈の裏側に忍ばせるという手法だ。


これは、以前オマニー準備ブログで佐々木氏が主張していたことそのままで、こういうレトリックを用いるメディア関係者がいかに多いことか。佐々木氏は以前のそのエントリで「それは記者教育による無意識なものだ」としていたが、記事を恣意的に編集する特権意識が無意識に刷り込まれているということだろうか。

毎日新聞の取材とその後の態度は次のようなものだったという。

二人の記者からは相かわらず取材趣旨の説明はない。それどころか、どのような記事に盛り込む予定なのかも説明はされなかった。大型連載企画の元旦スタート紙面に書かれたことをがんだるふ氏が知ったのは、掲載後のことである。

(中略) 取材趣旨の説明はないまま、インタビューに突入した。そして年配のT記者がいきなり、こう畳みかけてきた。「匿名でやっているのは、卑怯だとは思いませんか」。

 これに対し、がんだるふ氏は匿名言論の問題について詳細に説明した。

(中略)がんだるふ氏があれこれ説明したことに対し、記者らは「でも、実名に対して匿名で批判するのはおかしくないですか」と切り返した。「無限のループのような対話だった」とがんだるふ氏は振り返って言う。

(中略)毎日の二人は以下のようにがんだるふ氏に質問した。

「命を助ける行為なのになぜ批判するんですか」
「あなたのお子さんが同様のケースになったらどうするんですか」
「募金する人が自分の意志で募金するのだから問題ないのではないんですか」
「自然の摂理っていうのは要するに宗教ですよね。それを他人に強制するのは間違ってませんか」

 そうやって取材は延々と三時間にも及んだ。がんだるふ氏は振り返る。「これらの質問の主導はT記者であり、議論をふっかける感じで、失礼な態度だった。私の失言を誘い、言質をとろうとする質問が目立ってました。

(中略)その後、毎日からはいっさいの連絡がなかった。正月の紙面に自分が登場していたことに驚き、「まいまいクラブ」のブログコメント欄にがんだるふ氏が抗議を書き込んだのは、一月一日夕方のことである。だがそれでも返事はなく、がんだるふ氏は一月五日になって毎日新聞社会部に電話し、I記者の上司と名乗る社会部デスクに抗議した。だがデスクは「きっちり取材しているから間違いは無いはずです」と言うだけだった。がんだるふ氏が「ではIさんと話をさせてほしい」と申し入れると、「電話かけさせりゃいいんでしょ、私は忙しいんです」 と電話をガチャリと切られてしまったという。


この状況を今北産業的に要約すると、

1.毎日新聞記者、がんだるふ氏に取材趣旨の説明も無く、「匿名=卑怯」の立場に立って一方的に議論を吹っかけるような失礼な取材。
2.がんだるふ氏がそうではないことを丁寧に説明。しかし記者納得せず話がループ。
3.何の連絡も無く、恣意的な例の悪意ある記事が掲載され、抗議は一切シカト。

なんか安いテレビドラマでも見ているようなんだけど、新聞社にはこういったテンプレでもあるんだろうか?毎日には佐賀支局の朴鐘珠記者の例もあるわけで、こういう態度が毎日新聞のデフォなのか?デスクの肩書きを持つ人が「電話かけさせりゃいいんでしょ。」は無いよねえ。ふつう社会人として。

佐々木氏はこの取材について二つの問題点を挙げる。

1.取材側の優位性の過信
2.取材側の実名/匿名の意識のズレ

佐々木氏は2年前の自エントリ「インターネットが取材を変える日(HotWired「ITジャーナル」)」を引用して取材プロセスの可視化を唱える。
また、実名/匿名に関しては、ネット上でヒストリカルな実績をもつ匿名論者に対し実質無署名の記事を書く新聞記者が「匿名=卑怯」論をぶつことに疑問を呈する。

全くもって正論だと思う。今回の佐々木氏の意見には全面的に同意。
加えてこれはネットにおける「マスコミに対する不信感」の原因の一端をよく示していると思う。

ほぼ全てのプロセスが可視に出来るネットの世界では、言論において一方的な力関係というのは生じにくく、周囲の大多数の視線を得ることで言論の内容が吟味され相対化される。一方的に力を行使しようとしたり不実な言論や態度でごまかそうとするものはネット上では批判され、軽蔑される。
従前の「一方的な取材による恣意的な記事化」という特権に慣れてきたメディアが、全く異質な言論空間であるネットに戸惑うのは当然かもしれない。もはや通用する隠しごとなど無いのだから。

しかし特権のぬるま湯に浸かり続けてきた従来の記者側のこれに対する反応としては、

「ところがいきなり、ネット社会の怖さを感じることになる。相手が取材された内容を、直後にブログの日記やネットの掲示板に書き込む。新聞記者のかつての取材は1対1の関係だった。それが大きく変わり、記者個人の名前や取材の仕方が不特定多数の人々にさらされる。」
「うへーっ、インターネットってやっぱり気持ち悪いなあ。取材を申し込んで、そんなこと言われちゃうの? オレだったらぜったい嫌だな」

となるわけだ。同様に、

  ・紙メディアは、一般読者の直接の反応から「隔絶」されている。
  ・紙面上で批判されることに慣れていない。
  ・黙ってやり過ごすのが「大人の対応」
  ・時間がたてば紙面は捨てられる。人々は話題を忘れる。

のがデフォだったと泣き言をたれる「従来のジャーナリスト」平野日出木氏が佐々木氏と対立するのは実は必然だったということだ。
今回の毎日新聞の取材姿勢に、平野氏の

「とりあえず意見を求めたという形だけを作れば、それでOKなんじゃないの?」

という言葉を思い出す。今回の毎日新聞の取材もいわば「とりあえず取材したという形だけを作れば、それでOKなんじゃないの?」だったわけで、つまりこれは従来メディアの一般的な手法の一つであったということだ。
また、批判者に対し「実名を名乗って1対1で話せ」なんて主張する記者が現れるのも上記のような心情が反映されていると考えると納得がいく。
ネットをある程度知る者にとっては当然だと思うことなのだが。

佐々木氏はこのメディア人の恐怖と警戒(笑)に対して、

「怖いネットはやはり危険だ」とネガティブ思考に転じてしまったら、その先の未来は存在しない。

と語るが、毎日新聞などの態度を見る限り、現状はまさにその通りではないか。
今メディアに求められているのは、特権者としての驕りを捨て、取材対象に真摯に向き合うことだと思うが、この既得権益に固執する新聞や従来のその姿勢に追従するものはもはや死にゆくメディアなのではないか、とオレは思う。
とはいえJ-CASTニュースなどは逆に悪ノリしすぎだと思うが。

そういえば佐々木氏の大先輩に往生際の悪い「従来のジャーナリスト」がいましたね。

  ウソつきは鳥越氏か記者か 泥仕合、録音テープで決着か(J-CASTニュース)

  鳥越俊太郎と盗聴法、共謀罪、『オーマイニュース』(7) 鳥越氏のウソと恫喝の実例~Part 1~(THE INCIDENTS)

「言った」「言わない」の繰り返しの果てにとうとう録音テープまで出されちゃって。
やっぱり自分が特権者だと思い込むと最期はこうなるのかねえ。


【追記】
何故かわからないけどCNETにTB送れないなあ。
意見も受け付けんとは、臆したか小次郎!(その佐々木じゃない。)

【追記2】
「こころはどこにゆくのか?」さんのエントリ

  一人の書き手として胸に手を当てて自戒する~毎日vsがんだるふ氏問題についての佐々木氏のエントリについて

で佐々木氏の挙げた例もまた恣意的に佐々木氏の自説を補強するものではないのかという指摘があった。うーんなるほど。確かに一理ある。
オレ的には世論がメディアの論調と乖離してた点かどうかという点については、ネット世論≠世論と考えていたし、現在のネット世論の影響力についても佐々木氏ほど評価していないのであまり同意してはいなかった、というか意識していなかった。
発言において自分もまた同じ轍を踏むかもしれないという点においては自戒したいと思う。

毎日新聞側の言い分については佐々木氏も「毎日新聞サイドがこの件をどう見ているのかについては、いずれ日を改めてアップロードしたいと思っている。」と言っているのでこちらを楽しみにすることにしておく。
  1. 2007/01/27(土) 18:53:36|
  2. メディア - マスコミかカスゴミか
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

がんだるふの正体

どうも、左翼OBと現役左翼の闘いだったようです。

プロ市民がんだるふ1号
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/net/1168326895/
【団塊ニート】プロ市民がんだるふ【ネット三昧】
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/net/1171351560/l50
  1. 2007/02/14(水) 03:13:33 |
  2. URL |
  3. とおりすがり #JalddpaA
  4. [ 編集]

>>とおりすがりさん
情報ありがとうございます。
しかし、どんな人が相手でも恣意的な取材がゆるされるわけではありませんよね。
  1. 2007/02/14(水) 23:08:38 |
  2. URL |
  3. zak #-
  4. [ 編集]

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