15日、生徒約900人が生き埋めになったとされる都江堰市の聚源(じゅげん)中学校では、朝になっても救出作業は始まらなかった。「子供を置き去りにできない」。地震発生から「72時間」が経過した午後も、生徒の親たちは手作業で懸命にコンクリート片を取り除いた。
午前8時。地元住民や遺族ら約50人が学校の前にいた。倒壊したのは築20年以上の
鉄筋コンクリートの校舎。直径約1センチの鉄筋がぐにゃりと曲がっていた。「建築が
しっかりしてない。腐敗した人間が、こんなのを造っている。責任者は遺族に謝罪すべきだ」。
男性(40)は訴えた。
聚源中は生徒数約1700人。地震発生時は18学級の約1000人が授業を受けており、
9割が生き埋めになったとみられる。午前9時過ぎ。成都市の疫病コントロールセンター
の白いワゴン車が到着。遺体が多数埋まっている場合、感染症が発生するおそれがあり、
白衣を着た職員が校舎のがれきに向かってホースで消毒液の散布を始めた。
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20080516k0000m030165000c.html
午前11時過ぎ、死者を弔う爆竹が鳴った。赤いろうそくが2本供えられていた。
生徒の親ら数人が、手作業でがれきを掘り返し始めた。「建物から離れなさい」。
警察官の指示で、がれきの前からいったん人が消えた。午後2時28分。発生から
72時間が経過した。直前に医師や看護師が姿を見せたが、早々に立ち去ってしまった。
【北京=福島香織】中国・四川大地震の被害が拡大するなか、中国人の地震に対する意識に警鐘が鳴らされている。世界の3分の1の直下型地震は、地球の陸地面積の14分の1を占める中国に集中。しかも四川省や雲南省はヒマラヤ造山帯近くの「地震の巣」にあたる。今回の地震では8割の建築物が倒壊する街も出るなど、建物のもろさが被害を拡大させた。上海や北京では地震発生と同時に高層ビルから飛び出すなど“危険な避難”が目につき、地震に不慣れな中国人の姿が浮き彫りとなった。
国家地震局の専門家らの解説では、四川省は南北地震帯とよばれる地震多発帯の上にあり、1973年に2200人の死者を出したマグニチュード(M)7・4の炉霍地震(甘孜(カンゼ)チベット族自治州)のほか76年もM7・2の松潘地震が発生している。M7以上の地震が3年から19年の間隔で発生していた。しかし76年以降、四川での大地震はなく、今年2月に康定県でM4・7の地震が発生したときは、大地震の予兆ではないかという声も出た。今回の震源地となった●川(ぶんせん)県はチベット高原と四川盆地の境界をなす約300キロの竜門山断層の上にある。
■低い防災意識
地震多発地帯にもかかわらず、この地域、とくに県や鎮レベルの街、農村の家屋は全く耐震を考慮されていなかった。建物の8割が倒壊したという北川県のがれきの映像をみると、ブロックを積み上げて薄っぺらいコンクリートでくっつけただけの壁や、細い針金程度の芯を入れたコンクリート塊が見えている。重慶市梁平県や都江堰市では学校校舎や病院といった公共施設まで崩れた。原因の一つは建物の老朽化とも報じられているが、専門家はそれだけではないという。
中国では唐山地震以降、建築物の耐震強度が規定され、一般住宅でも強度7や強度8が求められている。たやすくは倒壊しない強度という。しかし13日、不動産サイトのオンライン座談会に出席した北京市建築工程研究院副総工程師の劉航氏は「北京や上海の建築のような計画から設計、施行まで厳しく安全にこだわって造られた建築物はまだいいが、地方には正規の規格に従わずに建てられる建物がある」と指摘。貧しい地方都市の開発は規格を無視した安普請が多いことを示唆した。劉氏は震源地の●川県の建物を視察したことがあるが、これらの建物が強度7といい、もともとの地震多発地域なのに設計強度が弱すぎるとも指摘。今回程度の揺れに耐えるには強度9〜10が必要という。
■泥とレンガ
一方、●川県を知る在青海省の日本人学者によると、地域の少数民族家屋は急峻な谷にレンガをつんで泥で固めたような簡単な家屋が一般的で、それが30、40戸ずつ集落をなしている状況という。「今回の大地震ではひとたまりもないはず」とみている。
状況の背景として、同じくオンライン座談会に出席した国家住宅工程センターの高級建築士の劉東衛氏は防災意識と教育の欠如を指摘。「天災は人災になりうる。個々人が積極的な準備や対応を行うことが非常に重要。災害がきても、十分な心の準備ができていれば損失は最小限にとどめられる」と訴えた。
北京では唐山地震以来ほとんど地震はなく、地震に慣れていない。このため都市部のビル街の地震はガラスが落下してくることもあるという危険性を考える余裕がない人も多く、デマに踊らされる場面もあった。中国で地震に対する防災意識を訴えるようになったのは、国家防震減災法が制定された1998年以降と歴史が浅い。
●=さんずいに文
【北京・西岡省二】中国・四川大地震で相次いだ校舎の倒壊について、13日に北京で行われた民政省の記者会見で中国紙記者が「報道で倒壊した政府庁舎を見ることはない。校舎などの安全対策を強化するのか」と質問。当局側が「倒壊したのは校舎だけではない」と釈明し、手抜き工事で被害が拡大したのではないかとの疑いを否定する一幕があった。
中国では、地方政府が競って豪華な庁舎を建設する一方、学校など住民に身近な施設については業者と役人の癒着で建設費を低く抑える「豆腐渣(とうふさ)(おから)工程」が社会問題化している。
今回の大地震では、四川省都江堰市で中学校が倒壊し、50人余りが死亡したほか、約900人が生き埋めになっていた。同省綿竹市や北川県、重慶市梁平県でも校舎が倒壊し、犠牲者が出ている。

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Author:zak
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